S.H.フィギュアーツ 覚悟のススメ 強化外骨格零 レビュー
2009年 5月購入
■発売元:株式会社バンダイ
■価格:3,990円 (本体のみ税込)
■サイズ:全高約14.5センチ
強化外骨格とは、太平洋戦争末期、旧日本軍起死回生の切り札として、悪鬼・葉隠四郎により造られし戦略兵器。
圧倒的な強度と驚異的な弾力性を持つ展性チタン合金製の装甲に、多種多様な化学兵器が搭載され、その威力は一国を陥とすとされています。
「零」は四郎の孫にして彼が創設した「零式防衛術」の継承者、葉隠覚悟が着装する強化外骨格で、戦争捕虜、三千の英霊たちの魂が宿りし最強の武具。
これまで仮面ライダーをメインに展開してきたS.H.フィギュアーツですが、この強化外骨格とはなかなか相性がよろしいようで。
■ FRONTE
■ REAR
■ BUST UP
凛とした黒革のスーツに脅威の展性チタン装甲をまとった「零」の雄姿が、巧みに再現されています。
プロポーションはフィギュアーツ素体準拠ですが、全身に厚い装甲が付く関係で、よりボリューム感が増しており、ライダー系全般で感じられた貧弱な印象は払拭されています。
また、装甲の材質にダイキャストが用いられているため、高い質感と確かな重量感が引き出されています。
モールドも服の細かい皺までメリハリが効いて良し、塗装品質も破綻なく、上々の仕上がりに思います。
赤いゴーグルと胸の細胞維持装置の緑マーカーがクリアパーツ、シンボリックな白いマフラーは軟質素材製です。
零の通常体(左)とマスク、装甲類を取り去ったところ。(右)
装着変身から培った技術の進歩が垣間見えます。
通常、見えない箇所までしっかりと作り込まれており、このような心配りがリアリティを与えているように感じられます。
上から下腕、腿、膝、脛のダイキャスト製。
肩〜上腕のカバーと両脇の腰ユニットはプラスチック製です。
肩カバーを除いて保持力が今ひとつ弱く、ポロリしやすいのが玉にキズ。
マスクは差し替え式、ツノは取り外し式で通常モードと覚悟完了モードを選べます。
通常モードはツノがなく鼻らしき意匠があるだけですが、グッと表情が豊かになりますね。
手首は、拳骨、平手×2、手刀の4種類から差し替え可能です。
物語中、幾度となく見せた敬礼もしっかりきまります。
腰パーツを差し替えて「瞬殺無音」の化学兵器、戦術神風の射出形態を再現できます。
腕の穴は左手だけに開いており、モールドだけの右手には装着できません。
マフラーはヒンジにより付け根の2箇所で上下可動。
形状的に難しいかもしれませんが、もう少し違う方向へ動かせるとさらに良かったかと。
専用スタンド、「魂ステージ 零式」が付属します。
プリントされたセリフの違いにより四種類があり、一つの製品に付き、どれか一つが封入されています。
私のは「覚悟完了 負けることは恥ではない!戦わぬことが恥なのだ!」です。
他のセリフは以下の通り
・その言葉、宣戦布告と判断する 当方に迎撃の用意あり
・雑草などという草はない!
・零式防衛術は 相手を殺す技ではなく 己を殺す技!敵を憎んではならぬ 憎むべきは敵を恐れる己の心
合金パーツを多数使用している関係か、空中のポージングでは重みに負けがちな印象も。
あと、パイプが回りやすいところはぜひ改善をお願いしたいです。
ACTION
一見、装甲が付いている分、ライダー系フィギュアーツより動かしにくくなっている印象です。
しかしながら、肩から腕にかけてのスーツ部分は装着変身等でおなじみの開閉カバー式となっており、可動域を広げつつ回転軸も盛り込んであります。
また、腰パーツをかわすために、モノシャフトドライブ的な動かし方もできる別パーツを腿の付け根に噛ませるなど、ディテールを崩さずに可動範囲を広げるための工夫が随所に見られます。
POSE
■ パーツ一覧
交換用手首(×4組)/通常体マスク/戦術神風再現用パーツ
【評】
実はフィギュアーツもいくつか買ってはいるんですが、今ひとつ、レビューしてみようという気が起きないものが多いです。
中には、まだ開封すらしてないものもあったりして。
なぜ、モチベーションが上がらなかったのか自分でもよく分からないでいたのですが、零を手に取ってみて、つくづく実感しました。
その理由はこれまでの金太郎飴的なラインナップにあったのではなかったかと。
つまり、基本的に同じ素体を材料に、精巧でキレイではあるが冒険心の感じられないバリエーションを増殖していくというコレクションに傾いた方向性を、無意識のうちに敬遠してしまっていたように思われます。
(これも装着変身などに対して、私たちの望んだことがダイレクトに取り込まれた結果といえなくもないというのが辛いところですが・・・)
この強化外骨格零は、これまでのライダーたちと素体構造こそ同じものの、その成り立ちや性格を明確に理解した上で立体化されたということで、差別化されていると思います。
外観の出来のよさはもちろんのこと、同一素材としても許されたであろう下半身の装甲をあえてダイキャスト製にこだわった上で、劇中で見せた印象的なアクションをほとんど再現できる可動性能とオプションパーツを与えたことは賞賛すべきではないでしょうか。
通常こうしたアイテムは、原作のファンが熱心であるほど敷居が高く批判的、あるいは立体化されただけでオケー的な意見が多いものですが、他の方のレビューや掲示板などを見るに、むしろこうした方ほど好意的に受け取っておられることに驚かされます。
さらに言えば覚悟の素顔やら、カバンやら、「女王様に浴びせるとは」指やらも付けてもらえれば完璧だったように思いますが、現状でも充分満足するべきアイテムに思います。
今後、散様という選択肢もありましょうが、万人に受け容れられるようなデザインではないように思われますし(●ボルテックで螺旋エフェクトパーツ付なら違う意味で面白いですが)、枠にとらわれず、別のキャラクターを見出した方が発展的に感じます。
シリーズは新設されるようですが、今後発売される「EXギア」などからも明るい兆候がうかがえます。
最終更新 06/26/09
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