群雄【動】マクロスプラス YF-19バトロイド レビュー
2008年6月発売
■発売元:株式会社やまと
■価格:3,150円(税込価格)
■フィギュアサイズ:全高約15センチ(アンテナ含む)






■ FRONT


■ SIDE


■ REAR


【スタイリングについて】

YF-19はOVAマクロスプラスに登場した試作試験機。
2040年の次期主力戦闘機計画に参加した新星インダストリー社により開発された機体で、 競合機であるYF-21がBDIシステムなどの特殊技術を盛り込んで入るのに対し、純粋な運動性能の追求がコンセプト。
ファイター時の前進翼からイメージされる通り、極めてスパルタン、かつピーキーな特性を持つ機体です。


群雄【動】YF-19は、YF-21同様、可変航空機という設定のため、関節まわりのみに可動骨格が使われており、プロポーションは劇中設定に近く仕上がっています。

また、胸部に格納された機首の突起、翼から変形した腰部スタビライザーなどもシャープに処理されており、ふくらはぎの垂直尾翼も別パーツで成型するなど、変形イメージを尊重した形状を、硬質感を持つABS素材で再現しています。

配色はボディカラーのビックル色カーキ、フレームのグレーが成型色、その上から赤やグレーなどのアクセントカラーが吹かれています。
やはり、目立つ塗装ムラ、ハミ出し、ズレ等はほとんどなく、マーキング等もタンポ印刷で丁寧に仕上げられています。

背面ブロックの仕上げがやや簡略化されており、玩具っぽく見えてしまうところがちょっと惜しい。


■ BUST UP

概ねキレイな仕上がり。
頭部もアンテナや頬のグレー部分などが別成型となっており好印象。 ただ、眼は蛍光グリーン塗装ですが、今ひとつノリが悪い感じがします。




首の基部も別パーツで造形。
足裏のモールドも細かく、かつ、立体的に再現されています。


■ ヒューズ/GU-15ガンポッド


YF-19の主兵装。
マズルの突端部分が別成型で芸コマ。
モールドもキッチリ施されていますが、分割腺がちょっと気になります。



■比較


リボルテックYF-19と。
リボのアレンジはもうとっくに市民権を得ている感がありますが、こうして並べてみると、もう別物ですね。



【可動について】

YF-21と同じく肘や膝に重関節、ボールジョイントも多用されていますが、形状的な干渉部分が多く、可動域はやはり平凡。
保持力は重くも軽くもありませんが、動かしすぎると、すぐヘタレてしまうような感じも同様。




首はボールジョイント接続。
顎は引けませんが、上方向には充分なクリアランス。
レーザー機銃も可動します。




肩はアレイ型ボールジョイントで全方向に可動、外側には約90度上げることができます。
肘も二重関節で約135度曲がります。
上腕付け根に回転軸あり。



肩の下に突き出たフラップも軸可動。
ちょっと大きすぎるのか、左側はシールドと干渉してしまいます。



腰は一応ボールジョイントが内蔵されているのですが、
各方向にカタカタ揺れるといった感じ。
まったく動かないよりはよいのですが。



YF-21同様、腰周りに干渉物がないため、腿は深く曲がります。
膝は二重関節ですが約90度、センターのニーパットは上下パーツから独立して動きます。
足首もアレイ型のボールジョイント接続で、接地性も良好。




【POSE】
















【パーツ一覧】


ガンポッド/オプションハンド(×5)



【評】

リボルテックをMIAと置き換えるなら、1/144 完成品プラモといった趣でしょうか。

造形に関しては、よく頑張っていると思います。 プロポーションに関しては過去のやまと製品の中でも上位の仕上がりではないでしょうか。

可変に縛られない訳ですから当然なのかもしれませんが、特に細部の造形など、マクロスシリーズで実績を示す同社ならではのこだわりが、シンプルながらも表現されています。

肝心の可動に関しては、「思っていたよりはよく動く」といったところ。
股関節がもう少し柔軟なら、もっとアクティブなポーズが付けられたように感じますが、トータル的には概ね良好です。

ただ、一昔前なら、立派なアクションフィギュアとして胸を張れたのかもしれませんが、事実、群雄割拠の現状では、やまとさんならではのプラスアルファが欲しかった気がします。

例えば、YF-21ならばベクタードノズルのフィンの開閉や足首の伸縮式など、YF-19ならば足(メインノズル)の分割開閉など、バトロイドがただの人型ロボットでなく可変戦闘機という捉え方をすれば、人体関節以外にも見せ方に工夫の余地があったように思います。

あとは付属品がちょっと寂しいですね。
ピンポイントバリアなどのエフェクトパーツは望めないとしても、ファストパックやディスプレイスタンドには様々なノウハウが蓄積されているはずなので、出し惜しみは極めて遺憾。


さて、群雄【動】はインナーフレームを搭載する第2弾以降に真価が問われるものとは思いますが、各所にその片鱗を見せたこのマクロスプラスシリーズは劇中設定と同じく、試験機だったのかもしれません。

とりあえず、スパロボ系のモデルがどんな躍動感を見せてくれるのか、今後に大いに期待したいと思います。